笹原右京 選手:「NSX-GTはルーフ付きのフォーミュラカーを運転するような感覚だ」
06.08.2020
笹原選手はフォーミュラレースやポルシェカレラカップでも活躍した日本のレーシングドライバーです。今シーズンに向けてかなり大きな変身を遂げたホンダNSX-GTの「TEAM Red Bull MUGEN」のドライバーとしてSUPER GT GT500クラスに参戦しています。今回はスーパーGT選手権での今年のマシンやレーススケジュールについてインタビューしました。
笹原選手のレースキャリアについて詳しく教えてください。
僕は5歳の時にカートを始め、国内選手権の数多くのタイトルを獲得し、その後ロータックス・マックス・ジュニアシリーズで2度の世界チャンピオンとなり、欧州でのチャンピオンになりました。 レーシングカートでの成功後、フォーミュラカーに戦場を移し、ルノー2.0選手権では3位に入りました。その後、ホンダの若手ドライバー育成プログラムに参加するために日本に戻ってきたのです。2017年にはFIA F4日本選手権で2位、2018年には全日本F3選手権で 3位、そして2019年は ポルシェ・カレラカップジャパン、F3 ASIAN CHAMPIONSHIP、Team Japanとして参加したFIAモータースポーツゲームツーリングカーカップの3つのカテゴリーで全て優勝する事が出来た記念すべき年でした。その結果、今年2020年はスーパーGT選手権のGT500クラスのTEAM Red bull MUGENのドライバーになる事が出来ました。
新しいRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTはとてもカッコいいですが、今年の新車のデザインついて感想を教えてもらえますか?
今年は新しいメイン・スポンサーのレッドブルのカラーリングに変更になっています。私は本当にこのクールな新しいカラーリングを気に入っています。フォーミュラ1のようですが、違いといえば、MUGENとMOTULの 輝く赤が一層デザインを引き立てていると思います。
新しいNSX-GTをドライブしたフィーリングはいかがですか?
NSX-GTと新しいClass 1レギュレーションカーを運転するのは今年が初めてですが、ルーフ付きのフォーミュラカーを 運転しているように感じます。今年から 新しい規制により、NSX-GTはミッドシップからフロントエンジン・リアドライブに変更されました。しかしホンダの努力のたまものでMRからFRへの大きな変更が有ったにもかかわらず、大きな違いがないように感じます。運転すると本当に素晴らしいレースカーですよ。
ホンダファクトリーチームはどのようにパートナーとして関わっていますか?
基本的にGT500は、すべてホンダファクトリーチームにサポートされ、車のセットアップやタイヤに関するすべてのデータを共有しており、その膨大なデータを統合してセットアップやマシン開発に反映しています。現場のレースチームのタイヤ選択や戦略に応じて、いくつかのセットアップを調整してくれています。
GT500での初めてのレースは、7/18-19の富士スピードウェイです。 レースの再開に向けチームとドライバーとしてどのような準備をしてきましたか?
富士スピードウェイの公式テスト日と鈴鹿でのタイヤテストで3週間テストを行っています 。
チーム側から得た分析データによって、富士での第1ラウンドに必要なタイヤを選ぶことができました。タイヤはスーパーGTにおいての最大の要因の一つなのでオンラインミーティングでは主にタイヤと車のセットアップについて検討してきました。 ドライバーとしては、体と心の準備だけでなく、レースの感覚を取り戻すために何度もシミュレータ・セッションを行ってきました。
コロナウイルス対策はレースにどのような影響を与えますか?
ラウンド4までは無観客開催の予定です。主催者は毎日の体温測定や他のいくつかメディカル・チェックを実施しています。ドライバー以外のメカニックやチームメンバーは16人に制限されています。また、ソーシャルディスタンスをとっての練習、マスクの着用義務、ビデオ会議によるドライバーズブリーフィングなど。 最初は少し戸惑いましたが、段々慣れ始めてきました。しかし、今後の 日本のモータースポーツの将来については経済的影響が少なからずあるかも知れないと思っています。